第29回日本急性血液浄化学会学術集会

ごあいさつ

第29回日本急性血液浄化学会学術集会を開催するにあたって
-明日の急性血液浄化を科学する-

西田 修 第29回の学術集会を、2018年10月19日(金)、20日(土)に「ウインクあいち」にて、開催させて頂くことになりました。私共の教室は、本年で開講10周年を迎えました。節目となる年に、歴史と伝統のある本会の会長を拝命し、大変光栄であるとともに、身の引き締まる思いです。本会を有意義な学術・情報交換の場としたく、医局員一同、鋭意準備をしてまいりました。
本学会の英語名は、「Japan Society for Blood Purification in Critical Care」です。すなわち集中治療における血液浄化です。昨今の集中治療医学の発展は目覚ましく、病態の理解も進み、各種臓器サポートの管理とデバイス開発・モニタリング技術も目覚ましい進歩を遂げつつあります。臓器を休ませ再生させることを目的としたとき、臓器サポートの介入のタイミングや期間の問題は大きな課題で、血液浄化に限ったことではありません。そういう意味で、今回のテーマは、「明日の急性血液浄化を科学する」とさせていただきました。集中治療における血液浄化の立ち位置を見直し、近未来の患者管理・デバイス開発・管理技術はどうあるべきかをアカデミックに考える場としたいとの思いを込めています。ここでいう患者管理は、フィジカル面では栄養療法も含み、さらには、患者・患者家族の精神的サポートをも含めた質の向上を目指しています。Post intensive care syndromeの話題も取り上げています。集中治療は多職種チーム医療の最たるものです。幅広い多職種間での活発な議論を期待しています。
また、日本の急性血液浄化事情は、諸外国と大きく異なる面もありますが、これには、様々な要因が関与しているものと思われます。今回、欧州、米国、オセアニア、アジア各国から7名の演者を呼び、各国の急性血液浄化事情をお話し頂きますので、日本の位置がわかること思います。また、世界版「この症例をどうする」を東京大学の土井研人先生に症例を提示して頂きながら、各国の先生方を交えて展開します。海外演者には、同時通訳も用意しておりますので是非ご参加下さい。
教育的プログラムも多数企画し、今回の「よくわかるセミナー」は、集中治療を行う上で必要な知識を整理できるように企画しております。また、各種講演も充実した内容となったと自負しております。特別講演は、本学会の生みの親である平澤博之先生にお願いしました。また、鹿児島大学の丸山征郎先生には、今話題のエクソソームに関して本会に相応しいタイトルでご講演を、大阪市立大学の新谷 歩先生には、臨床研究法の施行を踏まえた統計学の講演をお願いしております。救急・集中治療領域の終末期医療の第一任者であられる氏家良人先生には「血液浄化と臨床倫理」のご講演をお願いしました。こちらは、日本専門医機構の共通講習(倫理)として認定されており、当日参加申し込み可能となっております。
Best Presentation Awardの発表は、会員懇親会で行います。なごや飯を囲みながらの「なごやかな」交流をお楽しみください。
名古屋の地で、「明日の血液浄化を科学する」をテーマに繰り広げられるアカデミックなひと時を、多職種の皆様でご堪能いただければ幸甚です。

第29回日本急性血液浄化学会学術集会
会長 西田 修