日本急性血液浄化学会について

理事長挨拶

急性血液浄化法とは、重症患者の腎補助療療法として開発された持続的血液濾過透析(CHDF)をはじめとして、重症患者の急性期治療(critical care)の中で施行されるすべての血液浄化法と定義されます。主に急性腎不全(最近では急性腎傷害:acute kidney injury; AKIと呼ばれます)や、敗血症性ショック、急性肝不全、薬物中毒、自己免疫疾患の急性増悪、代謝異常症などの疾患や病態が対象となります。

日本急性血液浄化学会は、東京女子医大腎センターの故太田和夫先生と、千葉大学救急集中治療医学の平澤博之先生(現千葉大学名誉教授)のお二人が中心となり、当時新たな治療法として注目されていた急性血液浄化法を広く普及・発展させる目的で、1990年10月に急性血液浄化研究会として設立されました。2000年には、日本急性血液浄化学会となり、2005年に、特定非営利法人日本急性血液浄化学会となりました。本学会は慢性透析に携わる腎臓内科や泌尿器科の医師と急性期医療に携わる救急医・集中治療医が、それぞれの立場を超えて腎補助療法をはじめとする急性血液浄化をいかに安全に効果的に施行し、重症患者の治療に役立てるかを主な目的としています。また、重症患者にこのような治療を行うには医師だけでなく、臨床工学技士や看護師の役割も重要です。そのようなことから、本学会には多くの臨床工学技士が加入しており、医師と共働で活発な活動を行っています。

重症患者の腎補助療法として開発された持続的血液濾過透析(CHDF)や敗血症性ショックに対するエンドトキシン吸着(PMX)は、今やICUでの重症患者管理に不可欠な治療法となっています。これらの治療は保険で認められていますが、その適応や導入のタイミング、施行方法に関しては未だに明確なエビデンスはなく、標準化されているとはいえない状況です。また、新しい血液浄化法の開発や、様々な病態への適応拡大を図っていく必要があります。さらに重症患者に体外循環を行うこと自体に様々なリスクがあり、血液浄化を安全に施行するために、医療安全面での対策も重要です。

日本急性血液浄化学会では、医師だけでなく臨床工学技士や看護師などのメディカルスタッフとともに、急性血液浄化法をさらに発展・普及させ、多くの重症患者さんがこの治療によって救命されるように努力しています。この目的を達成するために、学術集会における学際的な研究発表や討議・教育をはじめ、実技の習得を目的としたハンズオンセミナーの開催、学会主導の「急性血液浄化標準マニュアル」の発刊などを行っています。また、2012年から「認定指導者制度」を設け、医療の質や安全管理の向上に役立つように活動しています。日本急性血液浄化学会の目的をご理解いただき、本学会の更なる発展にご協力をお願い致します。

特定非営利活動法人日本急性血液浄化学会
千葉大学大学院医学研究院救急集中治療医学
理事長 織田 成人

特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会