学会発表並びに論文発表などにおける患者情報保護に関する指針
患者に関する種々の個人情報(プライバシー)を保護することは、今日、医療従事者に課せられた重要な義務である。
学会発表並びに論文発表などに患者情報が用いられる場合には、個人の特定ができないような慎重な配慮が求められる。
各種の発表は医学および医療の進歩・発展に極めて重要な役割を持つが、この際に患者情報の保護をも心掛けることが肝要である。その重要性に鑑み、本学会はここに各種の発表における個人情報の記述に関する指針を具体的に示すものである。
- 1)患者の氏名はそのまま記述すべきではなく、ID番号・イニシャル・雅号や病院名などもこれ等から患者名を類推し特定できる懸念があるため避けるべきである。 例えば、50歳代・男子などとする。なお、供覧するレントゲン写真などの画像情報、手術摘出物、生検材料などの写真などについても、同様な配慮が必要である。
- 2)患者の人種、国籍、出身地、現住所、職業、既往歴、家族歴、宗教歴、生活習慣やや嗜好などは、報告の主旨に必要不可欠な事項に限定する。
- 3)日付は記述せず、1週間前・第2病日・1年後などのように行う。
- 4)紹介医療機関名や紹介医師名に関しても具体的な記述は行わず、所在地も記述しない。
- 6)患者の顔面写真を供覧する際には、個人を特定できないように工夫する。眼疾患の場合には、眼球部のみを拡大して示す。
- 7)上記に記された諸事項が発表の主旨の展開に必要で欠かせない場合には、当該患者または家族から直接文書による許可を得ることが必要である。
平成15年9月11日